和牛と言えば「黒毛和牛」。 ※「黒毛和牛」=「黒毛和種」
その名称は抜群の知名度を誇っています。
現在、様々な牛肉が店頭に並んで販売されていますが、それがどの種類に当たるのか不明なまま「なんとなく」で購入されている方も多いのではないでしょうか。そこそこの美味しさでまずまずの満足度があれば「OK」と判断されるのも牛肉全体のレベルが高くなっている証拠なのかもしれません。
ここで少し「牛肉」のお話をさせていただきます。
牛肉は「和牛」、「国産牛」、「輸入牛」に分類されますが、大前提として、【国産牛≠和牛】です。
日本国内で肥育(飼育)された牛の総称が「国産牛」。その中の一握りが「和牛」です。
※「和牛」は日本固有の品種を表し、「国産牛」は牛の最長飼養地が日本であることを表しています。
※大まかな比率としては、国産牛6割、和牛4割です。
ここから本題に入ります。
まず、牛は「肉用」と「乳用」に大別されます。
◆「肉用=食肉用」。普段スーパーなどで目にする精肉等で馴染みがあると思います。
◆「乳用牛=乳用種」は、乳製品の原料となるものを生産する牛のことです。白×黒の斑模様でお馴染みの「ホルスタイン種」や、濃厚な牛乳で著明な「ジャージー種」など、聞いたことがあるのではないでしょうか。
つまり、「乳」専用牛以外が「肉用」牛になります。
※「乳」生産の役目を終えた牛は「肉用」となります。←後述します。
「肉用」牛のうち、特定された4種のみが「和牛」と認定されます。いわゆる「肉専用」種であり、「和牛=肉専用種」です。
少し深堀すると、「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」の4種類のみが和牛と名乗ることができます。上記4種以外の牛は、どれだけ質が良くても「和牛」としての販売はできません。独自の様々な名称が付けられたとしても「和牛」の表記が許されていないのです。
●「褐毛和種」:高知県・熊本県が有名です。「あか牛」など。
●「日本短角種」:岩手県・青森県が有名です。「いわて牛」など。
●「無角和種」:山口県山口県阿武町で飼育。極めて少ない頭数。
和牛以外の「肉用牛」は下記に大別されます。
乳用に適さない「乳用種」、掛け合わせの「交雑種」、そして「外国種」です。
◆肉用牛の乳用種とは、乳牛の「雄」や、年を重ねた「雌」などが当てはまります。
※先述した「乳」生産の役目を終えた牛も「肉用」牛に変わります。乳用に適さないので「肉用」として利用するということです。
※ちなみに「経産牛」は出産を経験した牛のことです。お母さん牛ということですね。
◆交雑種は、その名の通り「和牛と乳用種」の掛け合わせや、「和牛と外国種」の掛け合わせなど、他の品種との混合です。通称「F1」とも呼ばれるのが交雑種です。売場のパック表記に記載されているのを見かけたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
◆外国種は、外国で確立された品種のことで、「アンガス」や「ショートホーン」の名は聞いたことがあるかもしれません。
※最長飼養地が日本であれば「国産牛」となります。
ざっくりと、こんな感じです。それぞれ深堀すれば長くなるので、今回は割愛させていただきます。
さて、話を本題に戻します。
「和牛」の4種類ですが、その中でも「黒毛和牛」は、和牛全体の98%という抜群の生産量を占めています。黒毛和牛以外の3種もそれぞれ特長はありますが、ダントツの支持率ですね。圧巻の黒毛和牛です。
鹿児島県はその気候風土と先人の努力の積み重ねから、全国1位の黒毛和牛生産量を誇る県でもあります。
生産量の多さが質の向上を促し、その評価は5年に一度開催される全国和牛能力共進会(和牛オリンピック)でも(2022年実施・第12回大会)鹿児島黒牛が連覇を遂げたことでさらに評価が高まっています。←2大会連続優勝!
http://kagoshima-kuroushi.org/?page_id=68
次回、第13回大会は2027年。北海道開催となります。はるばる北の大地まで出掛ける鹿児島の牛たち。武運長久を祈ります♪
ここでちょこっと裏話♪
松阪牛・神戸牛・近江牛・米沢牛・飛騨牛…。知名度抜群のブランド牛の背景には鹿児島県産の黒毛和牛が一役買っています。
「黒毛和種」である黒毛和牛の子牛。正真正銘の「黒毛和牛」をどのように育てるかで、ブランド牛としての道を進んでいきます。
そのブランド牛と認定される基準をクリアできる育てられ方をして、銘柄牛となります。
鹿児島で生産された子牛が全国各地へ移されて、それぞれの地で名高い銘柄牛に育てられているのも、信頼と実績の現れではないでしょうか。
※鹿児島県産の子牛が使われるケースが多いのですが、全てではないのでお間違えのないように。どの子牛を銘柄牛に育てるかは、生産者の決断によります。
そんな評価の高い鹿児島県産の黒毛和牛。ごく身近に、普段買いできる価格で提供されているという鹿児島は、豊かな土地である証拠です。あまりに普通過ぎて見過ごしがちな価値に、少し目を向けてみるのも面白いものかもしれません。
和牛といえば、鹿児島県産
https://www.pref.kagoshima.jp/aa02/chiji/kaiken/r06/documents/117141_20241122175441-1.pdf